戻ってきてます!
がさがさやってるんですがなんだか慌ただしくていけません。
ちょっとお茶請け代わりに小話一つ置いていきます。更新今週できたらうれしい(願望)
続きからカミュ小話です。
カミュは無自覚に褒め殺し(ニコッの微笑みつき)だったらいいなって思います。続きからどうぞ!
同じ言葉を幾度と無く
書物に目を落とす時、書棚を見上げ背表紙を撫でる時の横顔は凛として美しく、瞳は英知をたたえてさやかにきらめく。彼女は気付いているだろうか。カミュはそんな横顔を、明るく朗らかな雰囲気の時の彼女と同じだけ好ましいと思ってることに。
「美しいな」
「よく頑張っていると思う」
「知恵の女神アテナの神殿にふさわしい」
折に触れてそう伝えるのは、彼女の働きに称賛と最上の敬意を払っているからだ。
カミュはただ思ったことを言葉にしているに過ぎない。――もちろん、多少、静かに抱いた好意を溶かし込んでしまうことは否めないが、それはそれとして見逃してほしいところだ。
とにかく、カミュがこうして褒め言葉を贈ると、彼女は決まって頬を赤く染めて怒っているのか困っているのかわからない表情を浮かべる。
「そんなに、そんなに褒められることはしてませんし、……私はそんなにきれいじゃない、です」
いつもの調子良さはどこへやら。叱られることには慣れているが、褒められることには慣れていないのだろうというのがいつぞやに聞いた、彼女を良く知る獅子座の黄金聖闘士の見立てである。
謙遜と恥じらいで熟れた林檎のようになった頬を見ているとカミュはどうしてもこの娘を抱きしめたくてたまらなくなる。それを理性でもって押しこめて、彼はまた無自覚な熱で縁取った言葉を幾度となくくりかえすのだ。
「顔をあげるといい。謙遜することはない。君はどんな時も、十分に美しく愛らしいのだから」
(終)
「同じ言葉を幾度と無く」―君に贈る言葉5題(
天球映写機)より
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