黄金魂8話、フレースヴェルグっていうかフランダースのバルドルさんの好感度爆上がり(主に私の中で)で神闘士の中で一番好きかもしれない目覚めそう……ってなってます。元々不幸体質な美人さんは大好物です……。
シャカが慈悲深いひとでした。髪の毛じゃきじゃきしてたのにちょっと笑ったけど最後まで素敵でした。デスマスクも格好良かったです! ファフナーが謎の息を出しているのでこやつまさか波紋まで体得してるんじゃないだろうな、なんて思ったり思わなかったり。三部読み途中ですが二部のシーザーが好きです。ワムウも格好良い。三部はポルナレフと花京院のコンビがいい! スタクルメンバー尊い。
脱線しました。九話はシグムントとサガ戦のようで楽しみです。
それにしても予告のサガの眉毛すごい。よしあとカノン来い!!!!!!
続きから春爛漫の裏話です。
双子喧嘩の後あたり、蟹さんが人馬宮まで登って来たようです。主人公はミロと金牛宮にいるんで話題に上るだけで出てきません。
春爛漫、十二宮紀行裏話(アイオロスとシュラとデスマスク)
おーい、とシュラとアイオロスに声をかけたのはここ人馬宮より幾分か降りた十二宮四番目、巨蟹宮の主だった。
男はこの神聖な神殿に似つかわしくないラフな格好で、その上足元に至っては所謂便所サンダルをつっかけて、気怠そうに歩いてくる。きっちりと黄金の聖衣を着込んでいるシュラや、白の法衣のアイオロスと向かい合うと、なんともアンバランスな光景である。
「珍しいな、お前が用もなくこの辺りまで登ってくるのは」
「俺はこれから教皇宮だ。磨羯宮では呑めんぞ」
二人が各々思ったことを口にすれば、デスマスクは面倒くさそうにちげーよとため息をついた。
「サガとカノンがまーたおっぱじめたぜ。巻き込まれるのもご免なんで避難ついでにお前に届け物だ」
あいつらまた……、とアイオロスが頭を抱える姿を横目に、デスマスクがシュラに向かって差し出したのはおぼろげに見覚えのある、子供向けの本だった。しかし出し抜けになんなのだこれは。
胡乱なシュラの視線を受けて、デスマスクが本の表紙を捲った。見返しには今度こそ見覚えのある磨羯宮の印が黒いインクでしっかりと捺されていた。
とすると、この本はシュラ、あるいは磨羯宮の蔵書ということになる。
「ここにも来なかったか? 書庫番」
「――ああ、来た。中々の小宇宙だった」
「は?」
「俺が規則違反してしまってな。彼女にこっぴどく叱られてしまった。参った参った」
「……すげーなあいつ」
信じられん、と呆れた、をない交ぜにして呟くデスマスクにシュラは「それで」と先を促す。書庫番と磨羯宮の印の入った本。シュラにはまだ繋ぐものが見えてこない。
デスマスクは気を取り直したように持っている本で肩を叩きながら言った。
「うちの宮の延滞図書を片っ端から没収していったついでにこんなもん引っ張り出してきたんだよ。俺は借りた覚えがないんだが、一応お前んちのだから返すわ」
悪かったな。どこまでも誠意を感じない謝罪ではあるが、シュラ自身も覚えていない本なので大して気にはしなかった。むしろ今更謝られても、という気持ちの方が強い。
受け取って無造作に頁を捲ってみると、ようやく記憶の片隅にうっすらと残る挿絵のいくつかが顔を覗かせる。
「懐かしいな」
そう言ったのは十四歳の肉体に二七歳の記憶を宿した射手座の黄金聖闘士だった。
「人馬宮にもこれと同じものがある。恐らくどの宮にも。よくアイオリアや……それにお前たちにも読んでやった」
その声になにか優しい色を滲ませて彼はしみじみという。
シュラとデスマスクは同時に顔を見合わせ、そして逸らした。なんとなく思い出したのだ。在りし日の穏やかな日々を。狂う歯車も欠けた世界も知らなかった日々を。
ふとそれぞれが遠い日の記憶を手繰るように落ちた沈黙を、しかしデスマスクが打ち破った。
「確かにそんな時もあった。だが、あー、あれだ。――今もそれほど悪くない」
なぜか気恥ずかしそうな、らしくない腐れ縁の言葉に思考が止まりかけた。アイオロスの方もきょとんと目を丸くしていたので同じような感想に違いない。普段落ち着いた表情をみせるだけに、その無防備な面持ちがやけに肉体相応の十四歳らしく見えた。
なんだ、こんな顔もするのかとシュラはそういえば今日何度目かしれないことを思う。
やがてアイオロスは、破顔しながらデスマスクにずいっと一歩詰め寄った。嬉しい時に、人並み外れた馬鹿力で肩か背中をばしばしと叩かれる前触れであることをデスマスクもシュラも良く知っている。
アイオロスが昔からする親愛のスキンシップなのだが、叩く強さが半端ない。それも本人は加減していると思っているのだから性質が悪い。
できれば御免こうむりたいデスマスクは距離を取るように一歩後ずさった。シュラはそんな腐れ縁の蟹座の肩を押し首を振る。
「諦めろ」
「いやいやいや勘弁しろよ」
さて、デスマスクがアイオロスに嬉々として晩餐に誘われるのは、骨まで響く強さで背中を叩かれたその後のことだ。
*****
「それはそうと書庫番は大丈夫なのか? あいつらの喧嘩は彼女には手に余るだろうに」
「とりあえずここ来るときにアイオリアに言っておいた。まあ大丈夫だろ」
「そこはお前が救出すべきところだろう、デスマスク。……怪我でもしてなければいいんだが」
「生憎と俺はそういう役回りじゃないんでね。ついでに言っとくが、アンタたちが思うよりずっとあの女は運が良いし図太い。心配ねえよ」
(終)
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