7話はアルデバランがとてもとても格好良かったですね。闘魂ビンタかっこよすぎか。
神闘士が弱いんじゃない、黄金聖闘士が強すぎるのだ…。と思うことにしています。このアニメパワーバランスやばすぎる。
カミュはあの立ち位置にするなら掘り下げが足りないなという印象です。もっと尺が必要な流れだと思うんです、あれは。
小話は春爛漫の主人公と会った後の彼らの話。
5話の後、双魚宮まで登ってきたシャカがディーテに物申すようです。
春爛漫、十二宮紀行裏話(アフロディーテとシャカ)
あれの額を弾いていいのは私だけだ。
いつもは素通りするばかりで滅多に双魚宮深くまで訪ってくることないシャカが現れ、開口一番こう言った。閉じた瞼に遮られ、瞳の色こそ窺い知れないものの表情筋のすべてと小宇宙を使って不満を訴える。小脇に抱える古びた書物ときっちり纏った黄金聖衣も相まって、なんともこう。 ――そう、愉快だ。
アフロディーテはひととき呆気にとられたが、それも瞬きよりも短い間のこと。彼は大方の事情を悟り、込みあげる笑みをすんでのところで抑えてわざとらしく咳払いをして言った。
「手加減はしたつもりだったんだが、脳震盪でも起こしていたかな」
「少し腫れていた」
「はは、それは可哀相に。でも今回は彼女が悪いんだ。デコピンの一つや二つ目くじらを立てないでくれ。それに」
彼女に触れていいのは自分だけだなんて、随分あの子にご執心じゃないか。
他の者や、かの娘が見たら赤面するに違いないだろう艶やかな笑みを満面に浮かべてアフロディーテは年下の同僚をからかうと、シャカは眉間に皺が寄せてむう、と唸った。
アフロディーテはなお愉快だと笑みを深める。あの娘はどこまでもアフロディーテを退屈させないでくれる。“もっとも神に近い男”と目される乙女座のシャカにこんな――。
「しかしシャカ、その顔は止めた方が良い」
「……なにを言っているのかね」
「昔、気に入った瞑想場所でデスマスクが昼寝をしているのに出くわした時と丸っきり同じ顔をしているぞ、君」
そう、あのシャカにこんな拗ねた子どものような、おもちゃをとりあげられた時のような顔をさせるなんて中々できることではないのだ。
「まあ、気持ちはわからなくもないさ。あの娘を見てるとどうにも構いたくなってしまう」
もっとも、シャカの表情は愉快ではあるがその内容は少々面白くない。ひとりじめなんてさせるものかと言い含めるとシャカの目がす、と薄く開きかけた。
それほどか。と身構えたその時、二人に小宇宙を通して今夜の食事の誘いが飛び込んでくる。
「行くか? シャカ」
「否。今夜は女神の護衛を任されている」
「そうか」
アフロディーテは知らず知らず眼下の階段と守護宮の数を見下ろした。
さて彼女は今、どこまで下りて行っただろうかと考えながら。
(終)
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