間が開いたというのはそれだけ話が二転三転したと言うことです。
イメージ通りに話が進んだ試しはありませんけどね^o^
10話、ムウ様が伝言を滔々述べて主人公が謝るあたりの別バージョンです。
色んな意味で遊び過ぎて脱線をはじめたのでNGとしました。
貴鬼の言っていた「私のせい」の意味がとてもよくわかってしまった。きっと私がここまでくる間に、上の方から次々に小宇宙かテレパスかわからないけど、そういうものが飛んできたに違いない。
私が通り過ぎてしまった後かもしれない途中の宮より、最後に必ず辿りつく白羊宮へ伝言を託す方が確実だ。皆さんそう思ってのことなのだろうけど、結果しわ寄せはアリエス様に行くわけで。
「今日は随分色々なところで油を売っていたようで何よりですよ」
「ご迷惑おかけしてすみません。……でも、でも、油を売ってたんじゃなくて、私の務めをまっとうしてただけなんです」
「おや、貴女も成長したのですね。少し前まで文官達とピタゴラ何とかという装置を作って遊んでいたというのに」
「あれはちょっとした息抜きであると共に私たち文官の物理学的なとても大事な実験です」
文官一丸となって取り組んだその装置は樋の上をビー玉が転がっていき、その先にある天秤の片方に落ちたら反対側が跳ね上がって……というとても楽しい――違う計算に計算を重ねた装置だ。最終的に人が手を出さずにマッチが擦られて、見事ランプに火がついた時はみんなで歓声をあげたものだ。
その歓声を何と聞き違えたのか、たまたま教皇宮にいたサガ様とアイオリアが険しい顔で駆けつけ、叱られてしまったのもまあ、良い思い出である。
アリエス様も今度一緒にいかがですかと聞くと、彼はとても爽やかに「遠慮します」と言いながら私の額を指先で弾いた。じーんと痛む額を今日は何度さすったことか。
アリエス様は親切だけど妙に私に手厳しい。なんというか扱いがぞんざいである。私だって女官の皆みたいにちょっとは親切で穏やかに扱われたい。一体どうして――。あ。
「ねえアリエス様、もしかして前になんとか座の青銅聖衣の一部分をつっぱり棒代わりにしてたの怒ってます?」
「貴女あれをそんな風に使ってたんですか。罰当たりな」
「ちょ、やめ、いひゃいです、だってあの時はあれがなんなのかわからなかったんですもん……!」
物置だった書庫で青銅色の長い棒が出てきたんで丁度いいやと突っ張り棒にしていたらまさかの散逸していた青銅聖衣のパーツの一つだった……というのもまあ、ちょっと前にあったお話で。
どうやら余計なことまで口が滑ってしまったようで、私は呆れ半分のアリエス様にほっぺをむにむに引っ張られながらすみませんもうしませんからとへこへこ謝るのだった。
(終)
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