完全にタイミング逃してホワイトデーに書きそこなったお話です。
ムウ様は初登場時の印象が強すぎて優雅さで優しいひとだけど秘境暮らしの気難しい人の印象が若干強いです。あとちょっと恋愛は不器用だったらかわいい。
メモでばかり更新してないでそろそろ連載も続き書きたいです。来週以降少し時間ができると思うのでぼつぼつ更新したいと思います。
ところで防衛部の阿古哉君かわいいですね。ちょっとアフロディーテ様思い出しました。好きです。黄金魂ももう配信秒読みですね、楽しみです!
浦島?長曾禰? 相模には実装されてませんよ!時間無くて長時間プレイできませんし!
そんな近況です。
続きからムウ様ホワイトデー小話どうぞ。
小さなガラスのビーズが銀色の細い鎖に連ねられて、日の光を受けてちらちらと星屑のように瞬いた。
アクセサリーや小物が大好きな彼女は、普段ならかわいい!と声をあげるかうっとりと見惚れていたに違いない。けれど彼女は今日は納得できなさと恐縮さを半々にしたような表情で、この美しい首飾りを彼女の手に握らせた牡羊座の聖闘士を見やった。
「気に入らないのであればそこに置いていってください」
「いえ、そういうんじゃないんですけど」
歯切れの悪い娘に、ムウは眉根を寄せる。
喜んでほしい一心で拵えたのだ。そんな顔をしてほしい訳ではないのだと苦笑すると、彼女はぽつりぽつり、気まずそうに言う。
「あの、こんなきれいな、……とっても手の込んだもの、貰う理由がないなって」
「理由? あるでしょう。先月の返礼です」
「え」
「あなたが言ったんですよ。三倍返しがどうのと」
「……」
途端、彼女の顔が一変した。やっちゃった、まじか。そう書いてある。
大体を悟ったムウが呆れ交じりに溜息をつくと細い肩がびくっと揺れた。要するに。
「大方冗談だった、というところでしょうね。あるいは照れ隠しですか。そうやって軽口ばかり言うのはあなたの悪い癖だ」
「……返す言葉もありません」
頭を垂れた彼女に、また溜息を一つ。
違う、そうじゃないのだとムウは心の中で自分を叱った。彼女も大概だけれど、こちらもムキになりすぎだ。笑ってほしい、喜んでほしいと思って作ったのだ。
その理由にはとっくに整理がついているのだが、口に出すにはなかなかどうして勇気がいる。長らく人との関わり少なく生活していたせいなのか、恋情というものはどうも御しにくい。
「もらって、いただけないのですか」
ついつい険しい口調になってしまうのが我ながら情けない。ムウの言葉に彼女はおずおず顔をあげて、ムウを見た。
「まだ、私にくれるって言ってくれるんですか」
「あなたの為に作りましたから」
「え、ムウ様が作ったんですか」
「工芸には心得がありますので」
まじっと手の中の首飾りを見つめる姿に、なにか重大な判決を待っているような気分になるのは何故だろうか。
彼女の前となると聖闘士の頂点に立つアリエスのムウもただの人だ。
やがてぎゅ、と首飾りを握りしめ、胸元に引き寄せた彼女が面映ゆげにありがとうございます、と笑う。
そうしてようやく、ムウも口の端を緩めてこの上なく優雅な微笑みを彼女に向けるのだった。
終
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