あけましておめでとうございます!
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
おかげさまで年賀状は無事(?)出せました。年々書く枚数が減っています。
メールって便利ですね…。
せっかく未年なのでSSしたためてみました。
お相手はムウ様なんですけどシオン様もぐいぐい来てます。貴鬼は巻き込まれてます。
ハロウィンといい、シオン様をお茶目にしてしまいがちなのですが、シオン様は本当に好きな人できたら物凄く(自分に対して)ストイックになるひとなんじゃないかという夢を見ています。
黄金のお兄さんたち誰も彼も一癖ありそうですが、牡羊座の二人は恋愛となると指折りの難易度を誇りそうです。
その分観念したらというか、くっついたらものすごーく大事に甘やかしてくれると思います。
新年は年末とはまた別の忙しさがあるもので、ムウが所要を済ませてようやく自宮に戻ってみると、なんとあの娘がいた。そう。なにかと賑やかすぎるあの書庫番娘である。
居ること自体は一千万歩譲って良しとしよう。しかし、
「あ、お帰りなさい、ムウ様」
「おお帰ったかムウよ」
「……おかえりなさい、ムウ様」
なぜ彼女は、出身地である遙か東の国の民族衣装を着て先代牡羊座の膝の上に座り、かつ彼女の膝にムウの弟子たる貴鬼が座っているのか。貴鬼が非常に居心地悪そうにしている辺り、この有様の発端はおそらく大恩ある師と書庫番娘にあるに違いない。
新年早々なにをやらかしているのかと、ムウは大きな嘆息を隠さないまま辺りを見やる。ああ、酒瓶が転がって、それになぜか羊のぬいぐるみがちょこんと鎮座して、なんだかすべてを悟ってしまったような気すらする。
「一応聞きますが、なにをしているんですか、あなたたちは」
「新年のご挨拶に来ましたら、シオン様のお酌をすることになりまして」
「これがまた下手くそなものだから練習がてら一緒に呑んでいたらすっかり酔ってしまった」
「……オイラ止めたんですよ、ムウ様ぁ」
「それでですね、今年は日本では干支でいう未年だから、シオン様も貴鬼もご利益ありそうだから拝ませてくださいって言ったらこうなりましたー」
身に着けている着物せいか、それとも酔っているせいか。
口元を袖で隠し、ころころと笑う彼女はいつもよりずっと華があり艶やかだ。髪に挿したかんざしが、しゃらりと音を立てて鳴る。
こんな状態を見なければ、ムウとて素直に褒め言葉の一つや二つやっていたかもしれないというのに、書庫番娘の残念っぷりは今年も健在のようだ。
そんな小娘と孫弟子を膝に乗せてご満悦気味なシオンに、ムウは助平爺、と心中でこっそりと呟いて本日二度目のため息をもう一度。
貴鬼、と呼ぶと弟子の肩がびくっと揺れた。
「は、はい!」
「その阿呆娘をつまみだしなさい」
「でも、」
彼もおまけとはいえ聖闘士のはしくれであるし、ムウの弟子である。その気になればテレキネシスなりサイコキネシスなりで彼女の拘束から逃れることだって造作がないはずだ。
つまり、それをしないということはこの状況に甘んじるを良しとしているということで。
「なんだムウ、羨ましいならそう言えば良いものを。ほら、当代牡羊座がおいでと言っているぞ」
「はーい! すぐ参ります!」
軽やかに立ち上がって(その隙に貴鬼が逃げた)ムウ様、と甘やかな声と微笑がふわり、駆け寄ってくる。
新年早々、目眩がした。
<了>
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