たまにはなんだかシリアスな一人称の小話でも。
老師は本当に長い時を一人で過ごし、見送り、それでもなお誰かを愛することをちゃんと知っている人だと思うのでどんな形でもいいから尚更幸せになって;;;とおもうひとです。
恋愛だけが幸せの道とは限りませんがここはまあ、夢サイトなので! 寄り添うヒロインが!いたらいいなと夢見る訳です!
タイトルは
天球映写機さんの「君に贈る言葉5題」より。
酷く優しい楔のような
――お前さんは本当にいい子じゃのう。
彼はそう言うと、決まって私の頭を撫でるのです。
優しく、優しく。それはまるで幼い子どもにしてやるかのようで、確かに彼からすれば私はきっと子どものようなものなのだろうけれど、だったらなぜ、と私は心の中で童虎さんに問いかけます。
こんな、子どもをあやすような手つきだというのに、その目に宿っている「温かい眼差し」では片付けられないほどに深く彩られたその色の正体を、あなた自身はどう捉えているのでしょうか。
私はその色の意味を確かに知っているのです。
知らないほどには、子どもではないからです。
童虎さん。あなたが私を良い子と呼ぶのは、あるいは楔なのでしょうか。
これ以上、私たちの間にあるなにかが変わらぬように。
見守るだけのあなたと、見守られるだけの私であるようにと願うあなたの戒めでしょうか。
だとしたら、この楔はなんてひどく、やさしいのだろう、と私はまた泣きたくなるのです。
(終わり)
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