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あすて雑記

シャッターチャンスは一度だけ(双子)

とっくに過ぎてしまいましたがサガとカノン誕生日おめでとうございました!
本当はひとりひとりをちゃんと書いてお祝いしたいのですがどうにもままなりません。
タイトルはわかるひとにはわかる某キャラソン。わたしは立海勢が好きです。
続きから双子の小話です。


インスタントカメラ、というらしい。
黒と緑のコントラストをした、彼女のてのひらにすら収まる小さな「機械」だ。
そういえばアテネの観光客はどいつもこいつもこの小さな機械か一眼レフのカメラを持ち歩いているな、とカノンは思い出す。
しかしなぜこの書庫番娘は得意げな顔をして「タイマー付きですよ!」などと言いながらそのインスタントカメラを見せてくるのか。
ひょっこりと顔を見せたサガも訝しげだ。しかしこの愚兄、書庫番が訪ねて来ると偶然を装っているのいないのか欠かさず顔を出す。
そんなサガとカノンが揃ったところで彼女は「丁度良かった!」とぱっと顔を輝かせた。
「今日はなにをするんだ?」
「写真を撮りましょう!」
「は?」
「誕生日でしょう、お二人とも」
おめでとうございます、と頭を下げ、次に彼女が差し出したのはシンプルなフォトフレームだった。
「折角だし、記念の家族写真です」
「下らん」
カノンは呆れてすぱっと言い捨てた。撮ってどうする。そのフォトフレームに入れてマントルピースの上にでも飾る気か。
アットホームで結構だが、よく考えてほしい。一緒に映る相手がサガである。
なんだそれ。サガとツーショット? 気色悪くないか、おい。兄もおおむねカノンと同意見のようで、下らないとは言わないまでも積極的には頷かない。
しかし書庫番は強かった。カノンの言葉に彼女は全力で抗議の声をあげる。
「下らなくないですよ! だって、今日はもう来ないんですから」
忘れないように、たまには記録とっときましょうよ、ね? ね?
なんだか段々と懇願の様相すら呈してきた。双子は顔を見合わせて口々に嘆息し、頷きあった。
こういう時、ことに彼女に関するときは妙に気が合うのである。
「わかった」
「ほんとに?」
「ただ、条件がある」
「なんでしょう」
「君もわたしとカノンと一緒に映ること」
「それじゃ家族写真にならないのでは」
「それも悪くはないが、できるなら君と一緒にいた証を撮りたいのだ。カノンもそうだろう」
「……そうだな」
彼女は少し考えてから、わかりました、と言った。それから
「じゃあ、その写真私にもください。私も、サガ様やカノン様との思い出、持っておきたいです」と付け加えた。
かくしてサガとカノンは人生で初めてカメラとやらの前に立つことになった。
真ん中で誰よりも楽しげに笑う書庫番娘と三人で撮った写真は、今も双児宮のマントルピースの上に貼りつけられているという。

《 終 》

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